CDE(Common Desktop Environment)は、1993年にUnixワークステーション各社が共同で作ったデスクトップ環境で、2012年にオープンソース化されて今はLinuxでも動く。見た目を丸ごと切り替える配色セットが最初から41種類入っていて、選ぶだけで画面全体の色が変わる。

ただし、選んだ結果を確かめるにはセッションを入り直す必要がある。41種類を順に試すと、その回数だけログアウトとログインを繰り返すことになる。そこで全41種類を実機で撮って一覧にした。

正しい呼び名は「カラーパレット」

この配色セットはカラーパレット(palette)と呼ぶ。「システムカラー」「テーマ」ではない。Style Manager(スタイル・マネージャ)の Color を開くと Palettes という見出しの一覧が出てきて、そこに並んでいるものがパレットにあたる。

実体は拡張子 .dp のテキストファイルで、置き場所は3段階に分かれている。

場所内容
/usr/dt/palettesCDE本体に同梱されるパレット。この記事で扱う41種類
/etc/dt/palettesその機械の管理者が全ユーザー向けに足すもの
~/.dt/palettesユーザーが自分用に足すもの

1つのパレットは単色ではなく、複数の色をまとめたカラーセットの集まりになっている。アクティブなウィンドウの枠とタイトルバー、ウィンドウ本体、フロントパネル、ワークスペースの背景に、それぞれ別の色が割り当てられる。「タイトルバーがオレンジで背景が青灰色」のように、1つのパレットで数か所の色が同時に決まる。

なお、背景の模様はパレットではなく Style Manager の Backdrop 側の設定で、パレットが決めるのはその模様に使う色の方になる。この記事のスクリーンショットはバックドロップを既定のままにして撮っているので、模様は共通で色だけが変わる。

切り替える手順

  1. フロントパネルから Style Manager を開く(コマンドなら dtstyle)
  2. いちばん左の Color をクリックする
  3. Palettes の一覧からパレットを選ぶ
  4. OK を押す

同じダイアログに Add・Delete・Modify・Number of Colors といったボタンが並ぶ。Modify は選択中のパレットの色を個別に編集するもの、Add はそれを別名で保存するもので、保存先は ~/.dt/palettes になる。/usr/dt/palettes を直接書き換えるのは避けた方がいい。CDEを入れ直したときに消える。

反映にはセッションの入り直しが要る

面倒なのはここで、パレットを選んでOKを押しても、画面全体がその場で入れ替わるわけではない。手元の環境では、ログアウトして入り直すまで前の配色が残る部分があった。Number of Colors(使う色数)の変更にいたっては、仕様として次のセッションからの反映になる。

つまり、1つ試すごとに「選ぶ → ログアウト → ログイン → 確認」が要る。41種類を全部見るなら41往復になる。先に一覧で候補を2〜3個まで絞ってから実機で試す方が、確実に早い。

全41パターンのスクリーンショット

Linux上で動かしたオープンソース版CDE(1280×800)で、パレットだけを入れ替えて撮ったもの。Style Managerを開いた状態にして、ウィンドウの枠・タイトルバー・ウィンドウ本体・フロントパネル・背景が1枚に収まるようにしている。画像をクリックすると原寸で開く。

AlpineArizonaBeigeRoseBlackBlackWhiteBroicaCabernetCamouflageCharcoalChocolateCinnamonClayCrimsonDarkGoldDefaultDelphiniumDesertGoldenGrassGrayScaleLilacMustardNeptuneNorthernSkyNutmegOliveOrchidPBNJSandSantaFeSavannahSeaFoamSkyRedSoftBlueSouthWestSummerTundraUrchinWheatWhiteWhiteBlack

CDEのカラーパレット Alpine を適用したデスクトップ
Alpine — 淡い青紫のタイトルバーに、明るい水色の背景。全体が涼しげでコントラストは低め。
タイトルバー #AFBFFB / 背景 #679DB7
CDEのカラーパレット Arizona を適用したデスクトップ
Arizona — アプリコットのタイトルバーとテラコッタのウィンドウ。背景は乾いた砂色で、暖色だけでまとまる。
タイトルバー #FFAB78 / 背景 #BC987E
CDEのカラーパレット BeigeRose を適用したデスクトップ
BeigeRose — くすんだローズの背景にベージュのフロントパネル。タイトルバーだけ青緑で引き締めている。
タイトルバー #618888 / 背景 #9B7474
CDEのカラーパレット Black を適用したデスクトップ
Black — 背景が白黒のディザ模様になる2色向けのパレット。ウィンドウは青緑のタイトルバーにローズグレー。
タイトルバー #5F9EA0 / 背景 #737373
CDEのカラーパレット BlackWhite を適用したデスクトップ
BlackWhite — Black と同じ見た目になった。背景は白黒のディザ模様。
タイトルバー #5F9EA0 / 背景 #737373
CDEのカラーパレット Broica を適用したデスクトップ
Broica — Default と1ピクセルまで同じ配色だった。オレンジ+ティールのCDE標準色。
タイトルバー #EDA870 / 背景 #748190
CDEのカラーパレット Cabernet を適用したデスクトップ
Cabernet — ワインレッドのウィンドウに深緑の背景。タイトルバーはサーモン。暗めで落ち着いている。
タイトルバー #D88775 / 背景 #3B5349
CDEのカラーパレット Camouflage を適用したデスクトップ
Camouflage — 彩度を落とした緑とカーキ。名前どおりの迷彩色で、画面がほとんど主張しない。
タイトルバー #ACBEB4 / 背景 #7A6868
CDEのカラーパレット Charcoal を適用したデスクトップ
Charcoal — 全体が暗いグレー。CDE同梱のパレットでは一番ダークテーマに近い。
タイトルバー #87B4B0 / 背景 #595454
CDEのカラーパレット Chocolate を適用したデスクトップ
Chocolate — 名前ほど茶色くない。青紫のタイトルバーにローズブラウンのウィンドウという意外な組み合わせ。
タイトルバー #A9A9FF / 背景 #727294
CDEのカラーパレット Cinnamon を適用したデスクトップ
Cinnamon — レンガ色のタイトルバーに、暗い茶グレーの背景。渋い。
タイトルバー #B14B50 / 背景 #665D5D
CDEのカラーパレット Clay を適用したデスクトップ
Clay — 淡いピンクのタイトルバーが、深い青緑の背景に浮き上がる。
タイトルバー #FFAAAA / 背景 #4C7677
CDEのカラーパレット Crimson を適用したデスクトップ
Crimson — 赤紫のタイトルバーに水色のウィンドウ。差し色が強く、アクティブなウィンドウが分かりやすい。
タイトルバー #B24D7A / 背景 #60768C
CDEのカラーパレット DarkGold を適用したデスクトップ
DarkGold — 暗い紺の背景に金色のタイトルバー。暗さと彩度のバランスがいい。
タイトルバー #B89663 / 背景 #46485F
CDEのカラーパレット Default を適用したデスクトップ
Default — CDEの標準。オレンジのタイトルバー、ティールのウィンドウ、青灰色の背景。
タイトルバー #EDA870 / 背景 #748190
CDEのカラーパレット Delphinium を適用したデスクトップ
Delphinium — 青で統一。ウィンドウ本体まで青いので、黒文字とのコントラストは強め。
タイトルバー #85C4ED / 背景 #7177B8
CDEのカラーパレット Desert を適用したデスクトップ
Desert — 砂色と青緑。Default に近い構成だが彩度が低く穏やか。
タイトルバー #E5B793 / 背景 #777981
CDEのカラーパレット Golden を適用したデスクトップ
Golden — 山吹色のタイトルバーがよく目立つ。背景は赤茶、フロントパネルは青と色数が多い。
タイトルバー #FAAD49 / 背景 #A26E5E
CDEのカラーパレット Grass を適用したデスクトップ
Grass — 緑の背景に淡い黄色のタイトルバー。屋外っぽい配色。
タイトルバー #D4C77D / 背景 #4F8468
CDEのカラーパレット GrayScale を適用したデスクトップ
GrayScale — 完全な無彩色。色で迷いたくないとき、スクリーンショットを撮るときに向く。
タイトルバー #C3C3C3 / 背景 #A0A0A0
CDEのカラーパレット Lilac を適用したデスクトップ
Lilac — 藤色の背景に淡い黄色のタイトルバー。補色に近い組み合わせで境界がはっきりする。
タイトルバー #D3D178 / 背景 #8D7C9B
CDEのカラーパレット Mustard を適用したデスクトップ
Mustard — 濃い青の背景にマスタード色のタイトルバー。同梱パレットの中でもコントラストが強い方。
タイトルバー #D5802E / 背景 #425577
CDEのカラーパレット Neptune を適用したデスクトップ
Neptune — 濃紺にミントグリーン。暗い系のパレットでは一番爽やか。
タイトルバー #A2E5C6 / 背景 #264264
CDEのカラーパレット NorthernSky を適用したデスクトップ
NorthernSky — 深い青で統一され、フロントパネルまで暗い。夜向け。
タイトルバー #A47591 / 背景 #0A4C72
CDEのカラーパレット Nutmeg を適用したデスクトップ
Nutmeg — ベージュ主体で落ち着いているが、フロントパネルだけ青が入る。
タイトルバー #CEC2BB / 背景 #87746D
CDEのカラーパレット Olive を適用したデスクトップ
Olive — オリーブのタイトルバーにサーモンピンクのウィンドウ。組み合わせに癖がある。
タイトルバー #83835A / 背景 #726772
CDEのカラーパレット Orchid を適用したデスクトップ
Orchid — 全体が藤色。濃淡だけで構成された単色系のパレット。
タイトルバー #B9B9FF / 背景 #8F8FAE
CDEのカラーパレット PBNJ を適用したデスクトップ
PBNJ — ピーナッツバターとジャムの名前どおり、茶と赤の暖色一色。明るい。
タイトルバー #B65C61 / 背景 #BC886B
CDEのカラーパレット Sand を適用したデスクトップ
Sand — 砂色と青灰色。Default より柔らかい印象になる。
タイトルバー #EABE93 / 背景 #788AA4
CDEのカラーパレット SantaFe を適用したデスクトップ
SantaFe — サーモンピンクと灰緑。土の色の背景と合わせた南西部の配色。
タイトルバー #EF9D9D / 背景 #A08A78
CDEのカラーパレット Savannah を適用したデスクトップ
Savannah — テラコッタと灰緑。Default の彩度を落としたような、扱いやすい中間色。
タイトルバー #DA9A68 / 背景 #8897AA
CDEのカラーパレット SeaFoam を適用したデスクトップ
SeaFoam — 青緑の背景に淡い水色のタイトルバー。名前のとおり海の泡の色。
タイトルバー #AACBDB / 背景 #6A9C9E
CDEのカラーパレット SkyRed を適用したデスクトップ
SkyRed — くすんだ青緑の背景に赤のタイトルバー。アクティブなウィンドウが一目で分かる。
タイトルバー #CC686F / 背景 #5C8D99
CDEのカラーパレット SoftBlue を適用したデスクトップ
SoftBlue — 青い背景に淡い緑のウィンドウ。青系では明るい方。
タイトルバー #7FA9EB / 背景 #4D71B0
CDEのカラーパレット SouthWest を適用したデスクトップ
SouthWest — コーラルのタイトルバーに茶系のウィンドウと背景。暖色でまとまる。
タイトルバー #FF7D79 / 背景 #A3836D
CDEのカラーパレット Summer を適用したデスクトップ
Summer — 41種で一番鮮やか。赤・青・クリームと原色寄りで、長時間見るには強い。
タイトルバー #FF5664 / 背景 #6E87D8
CDEのカラーパレット Tundra を適用したデスクトップ
Tundra — Default に近いが、オレンジが淡く背景がやや青寄り。
タイトルバー #F1BC7F / 背景 #6A7C9D
CDEのカラーパレット Urchin を適用したデスクトップ
Urchin — 紫グレーの背景に、鮮やかな青緑のウィンドウ。
タイトルバー #D5A591 / 背景 #5F5874
CDEのカラーパレット Wheat を適用したデスクトップ
Wheat — 暗い青緑の背景に小麦色とクリーム。暗い背景の中では読みやすい部類。
タイトルバー #D1A57A / 背景 #3D5D6B
CDEのカラーパレット White を適用したデスクトップ
White — Black と同じ見た目になった。背景は白黒のディザ模様。
タイトルバー #5F9EA0 / 背景 #737373
CDEのカラーパレット WhiteBlack を適用したデスクトップ
WhiteBlack — White と同じ見た目になった。背景は白黒のディザ模様。
タイトルバー #5F9EA0 / 背景 #737373

同じ見た目になった組み合わせ

41種類のうち、3組は互いに区別がつかなかった。

  • Default と Broica — スクリーンショットが1ピクセルまで一致した。名前が違うだけで中身は同じ配色とみていい。
  • Black / BlackWhite / White / WhiteBlack — この4つも互いに同じ見た目になった。背景が白黒のディザ(市松状の点)模様になり、ウィンドウは青緑のタイトルバーにローズグレーという共通の配色になる。名前から想像する「黒一色」「白一色」にはならなかった。色数が限られた環境向けのパレットなので、フルカラーの画面では意図した見え方にならないのだと思われる。

実質的に選べるのは38通り、と考えておくとよい。

用途から絞る

41種類を眺めても決まらないときは、何を優先するかで候補を切る。判断に使うのはタイトルバー・ウィンドウ本体・背景の3か所で、この3つのコントラストの付き方がそのまま使い勝手になる。

長時間の作業で目を疲れさせたくない

CamouflageSavannahDesertGrayScale。彩度が低く、どこにも視線を引っ張られない。代わりにウィンドウ同士の境界が弱いので、重ねて使うと切れ目が分かりにくくなる。

端末を並べるので背景は暗くしたい

NorthernSkyNeptuneDarkGoldCharcoalWheat。背景が暗いぶん、明るい端末ウィンドウが浮いて見える。Charcoal はフロントパネルまで暗く、CDE同梱ではもっともダークテーマに近い。

アクティブなウィンドウをはっきり区別したい

SkyRedCrimsonMustardLilac。タイトルバーと背景が補色に近く、どのウィンドウが前面かを色で判断できる。ウィンドウを10枚単位で開く使い方ならこの系統が有利になる。

CDEらしさを残したい

Default(= Broica)。オレンジのタイトルバーとティールのウィンドウは、1990年代のUnixワークステーションの画面そのものになる。懐かしさが目的ならここから動かす理由はない。

色で迷いたくない

GrayScale。無彩色なので、アプリ側の色(端末の文字色など)だけが見える。スクリーンショットを撮って人に見せる用途にも向く。

自分で作る場合

同梱の41種類で足りなければ、Style Manager の Modify で近いパレットを開いて色を変え、Add で別名を付けて保存する。ファイルは ~/.dt/palettes に置かれるので、別の機械へ持っていくときはこのディレクトリをコピーすればいい。

手で作る場合も、置き場所は同じ ~/.dt/palettes になる。ただし色数や並び順は環境によって前提が変わるので、まずは既存のパレットを複製して1色ずつ変えるところから始めた方が事故がない。

結局どれを選ぶか

1つに決めるのが目的なら、上の一覧から「背景の明るさ」で先に半分に切り、残った中からタイトルバーと背景のコントラストが強いものを2つ選んで、それぞれ1日ずつ使ってみる。入り直しが要るのは切り替えたときだけなので、2回で済む。色の好みは一覧で決まるが、使いやすさは1日使わないと分からない。