Linux Digest

Linuxの最新ニュースを毎朝日本語でまとめてお届けします

Linuxの最新ニュース(2026-09-08)

9月7日のLinux関連は、AMD・Intel以外の企業が開発中とみられる謎のx86実装に関する新情報がほぼ唯一の大きな話題だった。Intelが中止したx86Sをはじめ、APXやFREDといった最新拡張の対応が判明し、x86の勢力図に第三の実装が加わる可能性が出てきた。

Asahi Linux が M3 系 Mac を正式サポート

必読ハードウェアLWN · Asahi Linux now supports M3-series Macs

Asahi インストーラが Apple M3 / M3 Pro / M3 Max に対応し、Webカメラ、内蔵マイク、USB 3 10Gb/s、AV1 を含むハードウェアデコード、Wi-Fi、Bluetooth が動く。残る大物は GPU と DCP のフルサポートで、これらは今後数か月内に続報が出る見込み。M1/M2 機で動いていたものはおおむねそのまま動くため、M3 世代の Mac を Linux 機として使う選択肢が現実的になった。Mac Studio の M3 Ultra だけは対象外。

Kernel prepatch 7.3-rc2 が公開

必読カーネルLWN · Kernel prepatch 7.3-rc2

7.3-rc2 がテスト向けにリリースされた。Linus は「rc2 は普通なら静かな時期なのに今回はフルサイズだった」と述べつつ、内容自体に不審な点はないとしている。7.3 の安定版は10月後半の予定で、この rc には Intel Core Ultra のようなハイブリッド CPU での Cache-Aware Load Scheduling のミスフィット修正や、kmalloc() から kmalloc_obj() への大規模な置き換えが入っている。

stable カーネル 7.2.4 / 6.18.50 / 6.12.109 がリリース

注目カーネルLWN · Three stable kernels for Monday

Greg Kroah-Hartman が3系統の stable カーネルを同時に公開した。いずれもツリー全体にわたる重要な修正を含み、アップグレードが推奨されている。6.18 と 6.12 は longterm なので、本番機を長期ブランチで運用している場合はこちらを追うことになる。

CERN が CentOS Linux から Debian へ移行

注目ディストリビューションLWN · [$] CERN's migration path from CentOS Linux to Debian

MiniDebConf Winterthur 2026 で、CERN の一部システムを CentOS から Debian へ移す計画が語られた。CentOS Stream 化以降、RHEL 系の下流をどう扱うか悩んできた組織にとって、LHC を動かす規模の現場がどう判断し、何を移行の障壁と見たかは直接の参考になる。分野は特殊だが、パッケージ管理と長期サポートの要件は一般的な運用と大差ない。

Ubuntu 26.10 のデイリー ISO に amd64v3 インストーラが追加

注目ディストリビューションOMG! Ubuntu · Ubuntu 26.10 daily ISOs add amd64v3 installer

"Stonking Stingray" のデイリービルドが amd64-v3 版イメージを提供し始めた。インストール後の再設定なしに、CPU 最適化されたパッケージ群をそのまま試せる。Ubuntu は昨年から amd64v3 をオプトインのアーカイブとしてビルドしてきたが、26.04 LTS は標準の amd64(v1) ベースラインのままで、これは途中のトラブルを考えれば妥当な判断だった。26.04 LTS も後から手動で v3 に切り替えられるが、26.10 デイリーならその手間が要らない。

RSEQ の API 追加で TCMalloc のリグレッションを修正へ

注目カーネルLWN · [$] Fixing the TCMalloc regression with RSEQ operations

6.19 で入った restartable sequences の性能改善が、カーネルの文書化されていない挙動に依存していた TCMalloc を壊した。Olivier Dion が、TCMalloc を再び動かすための RSEQ API 追加を提案している。ユーザー空間のロックフリー処理を支える低レイヤの話だが、アロケータが暗黙の挙動に乗っていた結果としてカーネル側が API を足す構図になっている。

AMD Zen 6 の BTB CTX Isolation 対応がカーネルに投稿

注目セキュリティPhoronix · Linux Preps For New AMD Zen 6 BTB CTX Isolation Security Feature

投稿された Linux カーネルパッチから、Zen 6 に分岐ターゲットバッファのコンテキスト分離機構が入ることが判明した。分岐予測器を経由した投機実行系の攻撃に対するハードウェア側の緩和で、ソフトウェアによる回避策のコストを減らす方向の変更になる。Zen 6 の投入時期からすると先行実装だが、緩和策のオーバーヘッドを気にしてきたサーバー運用者には効いてくる。

Rustls 0.23.44 で ML-DSA 証明書が既定で有効に

注目セキュリティPhoronix · Rustls 0.23.44 Released With ML-DSA Certificates Enabled By Default

Rust 製 TLS ライブラリ Rustls の新リリースで、耐量子署名アルゴリズム ML-DSA を使った証明書が既定で有効になった。TLS スタックの側で耐量子証明書を受け入れる準備が実装レベルで進んでいるということで、Rustls を組み込んでいるプロダクトは意図せず対応が入る点に注意が要る。

Intel の Dynamic PAMT が Linux 7.4 に入る見込み

注目カーネルPhoronix · Intel's Dynamic PAMT Appears Ready For Linux 7.4 To Help With TDX Memory Overhead

TDX を使った機密 VM のメモリオーバーヘッドを削る Dynamic PAMT が、ようやく mainline に到達しそうだ。従来の PAMT は物理メモリ全体に対する固定のメタデータ領域を要求していたため、TDX を有効にするだけでメモリを取られていた。この改善で機密コンピューティングを実運用に載せる際のコストが下がる。

謎のx86 CPU、APX・FRED・x86Sに対応 — Intelが手放した「レガシーフリーx86」を引き継ぐ

注目ハードウェアPhoronix · Mysterious x86 CPU Already Has APX, x86S Where Intel Left Off For Legacy-Free x86

AMDでもIntelでもない企業によるx86実装の情報開示が進み、APX(Advanced Performance Extensions)、FRED、そしてIntelが開発を打ち切ったx86Sへの対応が明らかになった。AMXについては16タイル・32タイル構成で、現行Xeonが搭載する実装を上回る。x86Sは16ビット・32ビットのレガシーモードを削ぎ落とす仕様で、Intelが放棄した後に引き継ぐ形になる。カーネル側にはこれらの拡張のサポートコードが投入されつつあり、x86の第三勢力が実在するなら、Linuxのx86サポート範囲は今後広がる。

Framework Laptop 12 が Fedora プリインストールで登場

ハードウェアFedora Magazine · Framework Laptop 12 Arrives with Fedora Pre-installed

Framework の新型 Laptop 12 に、Fedora Linux KDE Edition のプリインストール構成が選べるようになった。ハードウェア検証済みの状態で届くため、モジュラー機に自分で入れて動作確認する工程がなくなる。Fedora ユーザーの多い Framework コミュニティにとっては、数か月の作業の成果が製品として出てきた形。

Slackware 16 の最初のアルファ、GCC 16.2 / glibc 2.44 へ

ディストリビューションPhoronix · Slackware 16 Alpha 1 Available Following GCC 16.2, Glibc 2.44 & Binutils 2.47 Upgrade

Slackware 16 の Alpha 1 が公開され、GCC 16.2、glibc 2.44、Binutils 2.47 へとツールチェーンが更新された。土曜に出た Zenwalk の current ISO 更新はこれに合わせたものだった。最古参ディストリの次期版が動き出したことで、派生ディストリも順次追随する。

Firefox の 'Nova' リデザインが v157 で全ユーザーへ

デスクトップ/アプリOMG! Ubuntu · Firefox redesign will arrive in v157 release

3月から進んでいた Firefox の UI 刷新 Nova が、9月末リリース予定の Firefox 157 で既定有効になる。角丸、フローティングツールバー、ウィンドウ端から浮いたコンテンツ領域といった当初案は、この数か月で丸みもパステルのグラデーションも控えめに調整された。Linux デスクトップでも既定ブラウザの見た目が一斉に変わるため、社内配布やキオスク用途では事前に確認しておきたい。